みなさん、こんにちは。
丸橋全人歯科の海老澤です。
ここ2~3日は暑い日が続きますね。
熱中症にはくれぐれもお気を付けください。
今回は、上顎前突の治療例をアップします。
上顎前突とは、平たく言うと「出っ歯」のことです。
上顎が前に出ているケースが多いですが、下顎の劣成長によって相対的に出っ歯に見えることもあります。
いずれにしても、抜歯が必要になることが多い歯列不正です。
左上(向かって右上)の歯列不が大きかったため、左上の第一小臼歯(前から数えて4番目の歯)を一本だけ抜歯し、左側をⅡ級咬合仕上がり(下顎遠心咬合)にしてあります。
通常、上の歯を抜いた場合、歯数を揃えて正常咬合を獲得するために下の歯も抜きますが、今回は最小限の抜歯としました。
特に、舌が大きい人は、抜歯をして歯列が小さくなることで舌の置き場が無くなり、体調不良を招くことがあるので、注意が必要ですね。
当院では、現時点で最も信頼性が高いシステムの一つである、ノーベルバイオケアー社の一連のガイドシステム(ソフトウエア、スキャナー、サージカルステント)を使用しています。
文献によると他メーカーのシステムの場合、インプラント治療では致命的とも言える数ミリ前後の誤差も報告されていますが、適応を考え、手順を手抜きなくきちんと行えば、ノーベルバイオケアー社のガイドシステムの誤差は0.3mm内外と言われており、当院でも全ての症例でそのような結果を得ています。
ガイド手術を行えば、正確に、安全に、そして低ストレスで手術を行うことができます。事前に仮歯を作成しておくことも可能で、即時荷重治療(手術当日に固定式の仮歯を取り付けて咬めるようにすること)も熟練すれば簡単に行うことが可能となります。
ガイド手術とは、患者さんのCTデータ、模型等のデータからパソコン上で装置(サージカルステント)を設計し、このデータをもとに、3Dプリンターで作成されたサージカルステントを使用してインプラントを埋入する手術方法です。
①外科手術時の負担軽減
外科的侵襲を最低限に抑える(痛み、出血、腫れ)
サージカルステント使用によるフラップレス手術
②計画通りのインプラント埋入
補綴物を考慮した理想的な埋入位置
骨、歯肉低下の防止と長期安定性の獲得
精密な計算を手術に反映できる
ガイド手術を行うとインプラントを安全に正確に埋入することが可能で、造骨が必要な例でも低侵襲で、ストレスを最小限にすることが可能な場合もあります。
ガイド手術を正確に行うためには、治療の読みや熟練が必要です。
骨がある場合には、フラップレス手術(歯茎を切らない手術)も可能で、この場合、翌日の腫れや痛みがほとんどありません。
サージカルステントを利用したフラップレス手術
©Nobel Biocareインプラント植立から仮歯の装着まで3時間程度
初診時、歯周病で骨が黒く溶けている。すべての歯が保存不可能。
手術直前の口腔内、下顎の歯が全くない状況。
サージカルステントを利用して、インプラントを4本植立した。
手術開始から3時間後、全く歯が無い状況から、4本のインプラント上に固定式の仮歯が装着された。これでごはんや煮物程度の物は食べられる。
手術から5か月後、最終的な歯を装着した。造骨を避けるため、治療の仕上がりが早い。
当院初診時のレントゲン。お体に持病があり、歯周病の歯を今後管理してゆくのは難しいとのことで、この後、動揺の激しい歯を他院ですべて抜歯。
他院で装着した総義歯と義歯を外した状況。手術直前の状況。
ガイド手術によって手術から3時間半で仮歯を装着したところ。悩ましい入れ歯から解放され、その日から普通の固さの食事は可能となる。
6本のインプラントに12本の歯を固定式で装着している。咬み合わせのバランスをとって、最終的な歯が装着された。下顎の歯の歯周病も咬合のバランスが改善されたため、良くなっている。