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歯周病を防ぐ・治す
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  はじめに−体全体の生命力と歯周病の関係
  歯周病をよく知ろう!!
 
まず、歯周病チェック!!
 
歯周病は、恐い病気
  歯周病の原因と対処法
 
細菌軍と免疫軍の戦争
 
歯周病になりやすい人
 
主な要因別歯周病の分類
  こうして防ぐ・治す歯周病
 
歯周病にならない健康食
    @ 主食は未精白のものを
    A 緑黄色野菜は毎食、摂る
    B 小魚・海草を毎日、摂る
    C 大豆とゴマを増やす
    D 砂糖・化学物質を避ける
 
効果の上がるブラッシング
    乳幼児のブラッシング
    小児のブラッシング
    小学生のブラッシング
    中学生〜成人のブラッシング
  おわりに−生き方次第で、病は遠のく

 


 

 

 

 

口腔内不潔型(34歳・女性)
治療前
プラーク、歯石がたまっていて、いかにも不潔な所見。辺縁歯肉部に発赤、腫脹、出血、排膿があるが、付着歯肉はピンク色で引き締まり、歯槽骨は健全。
治療後(初診から1ヶ月後)
 歯周組織の抵抗力はほとんど問題ないので、徹底したブラッシングと適正な治療で1ヶ月後にはほとんど回復。
貧血・低血圧型(41歳・女性)
 歯肉は薄くて軟かく、赤味のない色を示している。ブラッシングは良好で外見的には炎症がなさそうである。
初診時のX線写真
外見とは裏腹に歯槽骨が激しく吸収され消失している。

 

歯周病になりやすい人の特徴
 @ 食生活 ●砂糖と脂肪が過剰
●ビタミン・ミネラル・繊維が著しく不足
 A 顔色・爪

●顔色が悪い(蒼白、暗赤色、土気色など)
●目に輝きがない
●皮膚、髪、爪に色艶がない

 B 全身症状 ●倦怠感、風邪をひきやすい、不眠症、胃腸の具合が悪い(便秘・下痢)、肩こり、頭痛、貧血、めまい、冷え症、視力低下や眼精疲労、水虫、アレルギーなどが認められる
 C 臨床検査 ●血液/血糖値、総コレステロール値、中性脂肪などが高い
●血圧/高血圧、低血圧
●眼底検査/動脈の蛇行がみられる
●その他/貧血、GOT・GPT値が高い
〈表1〉

 表1を見てください。中でも重要なのが食生活で、歯周病の方のほとんどが例外なくこの特徴が認められ、ほとんどの現代人は同じ傾向にあると思われます。

 要は“甘くて、軟かくて(食物繊維、カルシウムが無い)、こってり(高脂肪、高タンパク)食”です。脂肪、砂糖の過剰で高カロリーを摂っていながら、それを燃やして利用するためのビタミン、ミネラルが常に不足。特に、ビタミンB群・C、カルシウム、食物繊維の不足が顕著です。このどれもが健康増進に大きく関わる栄養素ですから、不足が続けば生命力、すなわち免疫力の低下は避けられません。また、食物の偏りに対応して増殖する細菌の種類も変化します。

 そのうえ、多用されている加工食品には防腐剤等の化学物質が多く含まれ、野菜や肉にも農薬の残留があるのが現状。水道水も、大腸菌が全て死滅する0.1ppm濃度の塩素が含まれています。これらはもともと細菌活動を抑えるために用いられる薬物ですから、当然、口腔内の細菌バランスにも作用するはずです。

 こうして、現代人の食生活は生命力につながる免疫力や口内筋のバランスを崩している一方で、精製品や加工食品といった食の軟食化も深刻な影響を及ぼしています。

 歯槽骨は、噛んで負荷がかかることで、造骨細胞の働きが活発になり、骨を作って硬く新しい骨を更新していくのですが、軟食化で噛まなくなった顎は発達が遅れます。しかし、歯は決まった本数が生えますから、小さな顎に歯が密生し合うことになり、歯並びの悪い「咬合異常」といった問題を引き起こします。咬み合わせが悪いと特定の部位にばかり力が加わり、しかも噛まないため歯槽骨が軟弱化しているので、噛む力に骨が負けていってしまいます。すると、歯槽骨から破骨細胞が出て、歯周ポケットがでlき、プラークがたまりやすくなるのです。

 食物繊維がなく、高脂肪・高タンパク、高砂糖で粘着性の強い食物を食べていれば付着・発酵しやすく、プラークになりやすい条件が備わり、悪環境はますます重なります。

 このような傾向は、乳幼児にも見られます。今年の3月に3歳児検診をしたところ、乳歯と乳歯の間の成長空隙のない子供がこの10年間で39%から52%へ増えているのです。原因は明らかに噛まなくなったことでの顎の退化に起因します。そのまま永久歯が生えてくれば、生える場所を失って歯列が乱れるのは必然といえるでしょう。もはや、3歳の時点で、将来の歯周病のリスクを背負ってしまっているのです。こうして、食生活の悪化が2重3重に歯周病の発症要因を高めています。

 こうした流れを背景に、昨年12月に具案化された厚生省の「生活習慣病の概要」の中で、歯周病は“食生活由良性疾患”に位置づけられました。また、国際的には標準とされる診断や治療の方法がまとめられた「メルクマニュアル」の最新版では、歯周病の原因として“全身疾患”との関わりが初めて明記されたのです。

 悪化した食生活は、必然的に表1のA〜Cのような症状を生み出します。歯肉がピンク色なのは血液の色が透けて見えるからですが、その血液は全身を巡っているわけで、血液が汚れていれば、歯肉の色も、顔も爪の色も悪くなります。つまり、食生活がそのまま歯肉の色に反映しているわけです。

 また、まるBのような症状の数々は、“歯周病になりやすい人は全身的にも生命力に乏しく病気になりやすい状態にある”表れであると考えられます。

 歯は全身の一部であり、局部的に生命力にあふれることなどありえないのです。

 先にお話した松枯れの問題を思い出して下さい。松が常在虫にやられた背景には生育環境の悪化があったように、歯槽骨が常在菌に侵される根底には、その生体の育つ環境の悪さがあるのです。ですから、ブラッシングさえしていれば、歯周病が防げたり、治るということは決してなく、病みたい状態の体から治りたい状態の体に変えること、全身の健康状態と共に改善していくことが必須なのです。

 それには「食生活の改善が基本」。土壌を整えずして健康な生命体はありえないと肝に銘じてほしいのです。

〈表2〉 主な要因別歯周病の分類
 
類型
特徴的所見
口腔内に主な要因のあるもの
口腔内不潔型
プラーク、歯石がたまっていて、辺縁歯肉の部分に発赤、腫脹、出血、排膿などがあるが、歯槽骨は健全。全身症状も問題なし。
咬合由来型
全体的には健康そうな歯周組織だが、咬み合わせの悪い部位に限局した歯槽骨の吸収がみられる。

その他 (注1)

全体的には健康そうな歯周組織だが、原因がある部分に限局した歯槽骨の吸収がみられる。
 全身的要因に大きな影響を受けているもの
貧血・低血圧型
顔や爪は青白く、歯肉も白味の強い薄いピンク色で薄くて軟かい。歯肉はきれいでも口臭は強く、歯槽骨の吸収が進んでいる。肩こり、倦怠感、便秘、冷え、不眠、肌アレ、風邪をひきやすいなどの人に多い。

高血圧・
動脈硬化型

顔、爪、歯肉は暗赤色。
全体的に厚みのある、ぼってりとした歯肉。炎症が辺縁歯肉に限局せず、付着歯肉や粘膜にまで及んでいる。全身症状として、動悸、息切れ、だるさ、倦怠感、肩こり、頭痛、のぼせ、視力低下など。
糖尿病型
爪の色、歯肉の色は赤味が強いか暗赤色。
歯肉は厚みがあり、ぼってりしているが、柔らかめで、ぬめっとした表面観を呈する。
喫煙型
肌や歯肉は黒ずみ、タール臭がある。
慢性消化器疾患型
 
腎障害型
顔色が悪く、歯槽骨の吸収が進行している。
むくみなどがみられる。
食生活由来型
(注2)
顔は艶のない土気色、蒼白など。爪は紫を帯びた暗赤色。歯肉も暗赤色で、軟かく、ぶよぶよしている。歯槽骨の吸収は進行しており、歯根先端部まで骨が失われている。倦怠感、めまい、肩こり、胃腸の不調、アレルギーなどが多い。

若年性歯周病

5〜6歳の第一大臼歯と前歯に限局して発病。
自己免疫・
ホルモン異常型
全体的に暗赤色で、全ての歯がグラグラしており、歯槽骨は消失してしまっている。

(注1)叢生、フードインパックション、歯軸傾斜、不良補綴物など。
(注2)食生活は混乱しているが、特に病気とは診断されない状態にあるもの。
●歯周病の単一の要因のみによって起きることはまれで、実際にはこれらの要因のいくつかが重複して原因となると考えるべきである。
 

 よって、歯周病の治療は、健康状態をしっかり把握して、その要因別に対処していくことになります。

 当院では、様々な問診、視診、触診、検査(血液、血圧、視力など)、栄養分析を行って患者さんの健康状態を把握。表2は、そうした結果から私が歯周病の原因別に分類したものです。

 プラークのみが原因で、ブラッシングで回復するのは「口腔内不潔型」だけ。その他、内科疾患由来のものは食生活に配慮しつつ病気治療を行うことがひっすですし、「喫煙型」や「食生活由来型」は当然、生活習慣を変えなければなりません。特に、「貧血・低血圧型」の人は見た目には歯肉の色がきれいでも、実は歯槽骨の吸収が進んでいる例が多いので、たとえ貧血・低血圧であることが判明していなくても、その特徴に該当するようなら、歯周病の危険性は高いので、改善していくべきでしょう。

 


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