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最初に、私がみなさんに強く訴えたいのは、“諦めないで、1本でも多く自分の歯を守って下さい”ということです。当院では、“もう抜くしかない”と宣告された重度の歯周病の方が日本全国から来られますが、そのほとのどの方が、これからお話することを実践され、治療を受けたことで、抜かなくても回復しています。そうした、現在まで約6000人を越える歯周病の患者さんを見て痛感するのは、歯みがきをしても治らない歯周病の方が確実に増えているということです。
そこで連想されるのが“松枯れ”の問題です。近年、日本中の松の成木が大量に枯れてきました。当時、原因は松と共生関係にある虫や菌の仕業と考えられ、松林に大量の殺虫剤が空中散布し続けられましたが、結局、松枯れを減らすこともくい止めることもできませんでした。
松は先駆植物で照葉樹の代表です。他の樹木が入りこまず、地面まで陽が入るほど陽当たりがよく、風通し水はけが良好で土が痩せている条件を好みます。
ところが、現在の松林は日陰でも生育できる半陽樹や耐陽樹が優勢となり、陽当たり、風通しすべて、松が生存できる条件は失われているのです。しかし、大気汚染に酸性雨と自然環境の悪化が追い打ちをかけます。したがって、松を助けるには、松が生きたい条件に整えてあげるしかなかったのです。
こうしたことは、花や野菜または鳥や魚などを身近に育てている方なら、当然のこととして実感されているはずです。それらの生物は、土や水、餌がその生態に適していない条件で元気に育つでしょうか。私は家庭菜園で、他種類の野菜を育ててみて確信しています。同じ種で、もとは同じ土壌でも、与え、整える条件によって引き出される生命のあり方は確実に変わるのです。ですから、土壌を変えることなく、目に見える悪いところだけを取ったり対処しても元気な野菜は育ちません。
人間も一緒、歯だけを見ていたのでは歯周病を克服することはできないのです。
歯を支える骨などの歯周組織から、全身的な健康状態まですべてを見て、その生命活動をトータルに良い方向に導くよう、生活を良好な条件下に整えることが第一にやるべきこと。そうして生命力を増強したうえで、正しい治療を受けて初めて治癒へと向かうのです。
“体を生命力のある元気な状態に導けば、歯周病は回復したがるのだ”という事実をよく念頭に置いておいて下さい。
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